こんにちは、奥田です。
異物の混入にはプラスチック片や金属片、糸くず、毛髪などがありますが、なかでも消費者に特に不快感を与えてしまうのが害虫の混入ではないでしょうか?
食品工場内で発生する害虫の多くは、外部からの侵入よりも内部で発生する事が高く、また特定の場所で大量に発生することが確認されています。今回は、食品工場における異物混入(害虫編)としてご紹介いたします。
食品工場内で害虫の発生する箇所は大きく分けて3種類のゾーンに分けられます。
以下のような箇所は害虫の発生しやすい環境であり、汚れの無い状態にする必要があるので特に注意したい箇所です。
①水系(排水、製造機器周辺・裏側など)
排水溝やピット(枡)などのじめじめした箇所になります。
ここでは、チョウバエやノミバエ等が多く発生します。
【チョウバエ類】
特徴:成虫は体長1.3~5.0mm程度。
浄化槽、汚泥、排水溝などの有機物の多い箇所で発生する。
【ノミバエ類】
特徴:成虫は体長1.0~5.0mm程度。
腐敗した動植物より発生。動物の糞などでも発生する。
これらの昆虫の発生を抑えるには、昆虫の餌となるもの(汚泥、食品残滓、有機物など)を取り除くことが必要不可欠です。
こまめな清掃による残渣などの除去は殺虫剤を利用した化学的な防除よりも効果的で、クリーンな状態を維持することは予防にもつながります。
②粉系(原料保管庫、製造機械周辺・内部)
穀類や乾燥食品等を扱う穀類貯蔵庫などです。
ここでは、穀類や乾燥食品等を食害するノシメマダラメイガなどが発生します。
【ノシメマダラメイガ類】
特徴:成虫は体長7.0~8.0mm程度。
幼虫は植物油脂が豊富な種子を食害する害虫として知られ、
玄米の胚芽部と糠層を食害したり、チョコレート、トウガラシをも食害する。
乾燥貯蔵食品の重大害虫の一つ。
捕殺する為の薬品や清掃など防除法と併用するのが効果的です。
③その他(塵埃の溜まりやすい箇所など)
低温倉庫や冷蔵庫周辺、天井裏、空調設備の内部などにあたります。
カビや塵埃を除去せずに放っておくとチャタテムシといった食菌性の昆虫が発生します。
【チャタテムシ類】
特徴:①体長1.0~3.0mm程度。
②食菌性でカビなどのある場所で大量発生することが多い。
食菌性昆虫の場合、微生物管理も視野に入れた薬品、清掃など防除法と併用するのが効果的です。
また、掃除をしにくい個所を作らないことも害虫混入を防ぐ手段です。そのためには
・製造機械の構造
・製造機械の配置
・工場設備の構造
を衛生管理の面からチェックし、清掃が難しい箇所に関してはどのように清掃するか具体的に決める必要があります。
そして、昆虫の発生を制御するには
(1)まず昆虫の発生しにくい環境を維持すること
(2)汚れの溜まりやすい箇所、溜まりにくい箇所を把握すること(計画的な清掃の実施)
(3)工場設備を点検すること(劣化している箇所は速やかに修繕、過去に修繕した箇所も定期的に点検)
こういった対策をこまめに行い、害虫混入事故が起こらないように心がけていきましょう。